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事業承継

武本税理士事務所では、自社株対策や相続対策などの税務的な事前対策はもちろんのこと、事業承継を行いやすい組織作りのお手伝いなど、事業承継の総合的なコンサルティングを行っております。
経営者が安心してご勇退できるように、後継者が経営力を発揮できる環境作りをお手伝い致します。
また、後継者がいない場合の廃業の手続きや事業売却(M&A)のご相談も行っております。
お気軽にご相談下さい。

1.事業承継の重要性


日本経済を支える中小企業では、近年、経営者の高齢化が進行する一方で、後継者の確保がますます困難になっています。

対策をせずに放置していると、いざ事業承継という時に、相続を巡ってもめ事が起きる、後継者が経営ノウハウを知らない、取引先・従業員の信頼を得られない、といった問題が生じ、最悪の場合、廃業に至ってしまいます。
そのような事にならないためにも、事前に、後継者の候補者を見つけ、その候補者を育成し、徐々に経営権を移していくといった計画的な取組みが大切です。

1.事業承継の重要性
事業承継の重要性

2.事業承継を進める手順

事業承継を円滑に進めるためには計画的に準備をすることが重要です。
以下の手順を参考にして検討してください。

事業承継を進める手順

3.現状の把握 ~事業承継計画立案への第一歩~

事業承継計画を立案するにあたっては、まず最初に会社をとりまく各状況を正確に把握することが必要です。
主に、次のような各状況を正しく認識する必要があります。

現状の把握

4.事業承継計画の作成

事業承継計画とは、中長期の経営計画に、事業承継の時期、具体的な対策を盛り込んだものです。
具体的には、

I.事業承継の概要

 後継者の確定、承継方法、承継時期 等

Ⅱ.事業の中長期目標

 経営理念、事業の方向性、将来の数値目標 等

III.事業承継を円滑に行うための対策・実施時期

 関係者の理解、後継者教育、株式・財産の配分 等

  事業承継計画作成のための整理の一例

1.事業承継の概要

現経営者
中小 太郎(63歳)
後継者
中小 一郎(32歳)
承継方法
親族内承継
承継時期
7年目に社長交代

2.経営理念、事業の中長期目標

経営理念
適正規模で、全員参加の、高品質経営。
事業の方向性
(経営ビジョン)

・三つ(雇用・設備・債務)の適正規模化を図る。
・現在の主力商品のマーケットシェアを一層拡大する。
将来の数値目標
【現状】 【5年後】【10 年後】
売上高   8億円 →  9億円  →  10 億円
経常利益 3千万円 → 3千5百万円 → 4千万円

3.事業承継を円滑に行うための対策・実施時期

(1)関係者の理解

①家族会議で、一郎を後継者とすることを決定(実施済)。
②社内の役員・従業員に学を後継者とする旨を公表し、事業承継計画を発表(2年目)。
③金融機関・取引先企業(S社等)に一郎を後継者とする旨を告知(5年目)。
④一郎を、取締役(1年目)、常務(3年目)、専務(5年目)、副社長(6年目)とし、段階的に権限委譲。
⑤Bを取締役に抜擢し、Aに引退してもらうことで役員の世代交代を図る(3年目)。
⑥学の社長就任後、太郎は会長(7年目)、相談役(9年目)としてサポートを実施。10年目に完全に引退。

(2)後継者教育

①S社での他社勤務(実施済)。
②社内での配置:Y工場(1年目)、Z工場(3年目)、本社営業(5年目)、本社管理(6年目)。
③商工会議所・商工会の「経営革新塾」への参加(2年目)。

(3)株式・財産の分配

(イ)基本方針

①後継者以外の相続人の遺留分は、花子:4分の1、梅子:8分の1
 株式価値の上昇を見込んで相続開始時の相続財産を4億円と仮定し、
 花子に自宅(1億円)を、梅子に預貯金5千万円を相続させることとし、
 株式(2億円)及び預貯金5千万円分は学に取得させる。

②会社法の規定を活用し、株式の分散防止に向けた制度整備を行う。

(ロ)具体的な対策
①相続人に対する売却請求に関する定款変更を行う(1年目)。
②財産の分配方法を記載した公正証書遺言を作成する(1年目)。

③学に取得させる株式(80%)のうち、60%分は生前贈与する。
 具体的には、暦年課税制度(1~6年目、5%ずつ)及び相続時精算課税制度
 (7年目、30%)を組み合わせて実施する。

④学が過半数の株式を保有する7年目に、重要事項の拒否権を有する
 「黄金株」を発行して太郎に割り当てる(7年目)。
 当該「黄金株」は、太郎が引退する10 年目に会社が取得し、消却する。

⑤会社による自己株式の取得:Cの株式5%(2年目)、Aの株式5%(Aが引退する3年目)。

(3)株式・財産の分配

(4)その他

①信頼のおける弁護士のD氏と任意後見契約を結んでおく(5年目)。


5.事業承継の方法(1)・・・親族内承継

親族内承継は、後継者を早期に決定し計画的に準備できること、内外の関係者から受け入れられやすいこと、などのメリットがあります。
他方で、以下のような課題がありますが、それに対処する方法をご紹介します。

①親族内に適切な後継者がいるか。

会社の資産、経営状況等を明確化し、後継者候補と意思疎通を図ることが重要です。適切な後継者教育も不可欠です。

②複数の相続人がいる場合に、いかに相続紛争を回避しつつ経営権を後継者に集中するか。

a)贈与・遺贈の活用
後継者以外の相続人の遺留分問題を解消・・・経営承継円滑化法の「民法特例」の活用(パンフレット『事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例』参照)。

b) 会社法の活用

株式を相続した者に対し会社から株式の売渡請求をできる旨定款を変更。

※会社が株式を買い取るための資金については事業承継に係る金融支援措置があります。(中小企業庁『事業承継における融資・保証制度』参照)。
後継者以外の相続人に、議決権制限株式を取得させる旨遺言する(但し、遺留分に注意)。

5.事業承継の方法

③事業承継に伴う贈与税・相続税を支払えるか。

経営承継円滑化法の認定を受けた場合には贈与税・相続税の納税が猶予されます。
後継者は、会社債務について、現経営者と同様に、個人保証や担保提供を求められることがあります。
現経営者は、事業承継に先立って、できるだけ会社債務の圧縮を図り、後継者の負担を軽減するように努めることが大切です。
また、個人保証や担保提供について疑問を感じたら、弁護士等の専門家に相談することが有益です。

6.事業承継の方法(2)・・・親族外承継①(従業員等への承継)

従業員等への承継は、会社の内外から広く候補者を求めることができ、特に社内で長期間勤務している従業員に承継する場合は、経営の一体性を保ちやすいメリットがあります。
他方で、以下のような課題がありますが、それに対処する方法をご紹介します。

①後継者となる従業員等に、現経営者が所有する株式等を買い取る資力があるか。

 経営承継円滑化法の認定を受けた会社の代表者個人(後継者)が、自社株式や事業用資産を買い取る場合、
 日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫の低利融資制度が利用できます。
 会社又は個人事業主については、信用保証協会の通常の保証枠とは別枠で保証が受けられます。

7.事業承継の方法(3)・・・親族外承継②(第三者への売却)

身近に後継者に適任な者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることで会社を存続できるとともに、現経営者が株式等の売却の利益を得ることができます。
他方で、以下のような課題がありますが、それに対処する方法をご紹介します。

①希望の条件(従業員の雇用、売却額等)を満たす買い手を見つけることができるか。

 全国47都道府県に設置された「事業引継ぎ支援センター」で、売却の相手探し、交渉の進め方、
 手続等について無料で支援しています。

②会社を購入しようとする第三者が現経営者が所有する株式等を買い取る資力があるか。

 6.①と同様の金融支援が受けられます。

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